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アイヌ語新聞「アイヌタイムズ」の記事「ヒメザゼンソウ」
(第26号、2003年(平成15年)6月30日(月)アイヌ語ペンクラブ発行 1〜3ページ引用)
(第26号日本語版、9月22日(月)アイヌ語ペンクラブ発行 1ページ引用) 

ヒメザセンソウ
 

(アイヌ語)
sikerpekina
シケペキナ

(エスペラント)



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シケレぺキナは,今では日本語で「ヒメザゼンソウ(Symplocarpus nipponicus Makino)」と呼ばれています。

(アイヌ語)
sikerpekina tane sisam itak ani "himezazenso (Symplocarpus nipponicus Makino)" sekor a=ye p ne ruwe ne.
シケペキナ タネ シサ イタ アニ 「ヒメザゼンソウ(Symplocarpus nipponicus Makino)」 セコ アイェ ネ ルウェ ネ。

(エスペラント)
 
 

食べたり,虫下しに用いました。
newaanpe a=e ka ki, ani tuy kikir a=sanke ka ki ruwe ne.
ネワアンペ アエ カ キ、 アニ トゥイ キキ アサンケ カ キ ルウェ ネ。

(エスペラント)
 
 

バチェラーや知里真志保によると,「ザセンソウ(Symplocarpus renifolius Schott ex Miq)」の茎葉としています。

(アイヌ語)
Bachera (Batchelor), TIRI Masiho nuye hi ene an i; sikerpekina "zazens (Symplocarpus renifolius Schott ex Miq)" sekor a=ye ham ne ruwe ne.
バチェラー 知里真志保 ヌイェ ヒ エネ アン イ; シケペキナ 「ザゼンソウ(Symplocarpus renifolius Schott ex Miq)」 セコ アイェ ハ ネ ルウェ ネ。

(エスペラント)
 
 

「ヒメザセンソウ」は,「ザセンソウ」に似ていますが,やや小さく,
"himezazens" anak "zazens" neno an korka ponno pon.
「ヒメザセンソウ」 アナ 「ザゼンソウ」 ネノ アン コカ ポンノ ポン。

(エスペラント)
 
 

北海道,本州(中国地方以東),朝鮮北部の林の淵や道の端の湿地に生えています。

(アイヌ語)
Aynumosir, (Ty身okutih wano cupka ta an) Honsy, Ty郭enhokubu or ta an nitay sam ta neya, ru teksam ta neya an yaci ka us pe ne.
アイヌモシ、 中国地方以東) 本州、 朝鮮北部 オ タ アン ニタイ サ タ ネヤ、 ル テサ タ ネヤ アン ヤチ カ ウ ペ ネ。

(エスペラント)
 
 

地下には短い根茎があります。 葉は10〜20cmまで伸びます。

(アイヌ語)
toytum un sinrici takne wa, hamu 10-20 cm pakno tuk.
トイトゥ ウン シンリチ タネ ワ、 ハム 10-20 cm パノ トゥ。

(エスペラント)
 
 

6月に花が咲きます。

(アイヌ語)
si-maw-ta-cup (iwan cup) ta nonno hecirasa.
シ-マウ-タ-チュ (イワン チュ) タ ノンノ ヘチラサ。

(エスペラント)
 
 

川上まつ子さんは以下のように言っています: 「シケレぺキナは,トペントペンって言って,おやつみたいに退屈な時,なんぼかかじっているだけのもので,サッハルも,あんまりハルのうちにも入らないんでないかい。

(アイヌ語)
Kawakami Matsuko katkemat ene hawe-an i; "sikerpekina anak topen topen sekor a=yep ne wa, topenpe neno mismu=an hi ta ponno a=kuykuy patek ki p ne wa, satharu ne a=kar yakka, 'haru' sekor a=ye hi ka isam sekor ku=yaynu.
川上まつ子 カッケマッ エネ ハウェ-アン イ; "シケペキナ アナ トペン トペン セコ アイェ ネ ワ、 トペンペ ネノ ミムアン ヒ タ ポンノ アクイクイ パテ キ ネ ワ、 サッハル ネ アカ ヤッカ、 ハル セコ アイェ ヒ カ イサ セコ クヤイヌ。

(エスペラント)
 
 

二,三日でカラカラになるんでないの。

(アイヌ語)
tutko rerko siran kor pirkano a=satke ruwe ne.
トゥッコ レコ シラン コ ピカノ アサッケ ルウェ ネ。

(エスペラント)
 
 

すっかり干せたことがサッノ。

(アイヌ語)
oar sat hi 'satno' sekor a=ye.
オア サッ ヒ 「サッノ」 セコ アイェ

(エスペラント)
 
 

サッノせば,今度,小さい袋に入れて上から掛けておく。

(アイヌ語)
satno kor pon saranip or a=omare wa horikasi a=atte wa anu.
サッノ コ ポン サラニ オ アオマレ ワ ホリカシ アアッテ ワ アヌ。

(エスペラント)
 
 

そこから取って食べる。」
『川上まつ子の伝承ー植物編1-』 (財)アイヌ民族博物館 1999年 (財)アイヌ民族博物館 p.61

(アイヌ語)
eun a=uyna wa a=e."
エウン アウイナ ワ アエ。

(エスペラント)
 
 

「聞き書 アイヌの食事」には,静内での料理のことが書かれています。 ゆでた直後のひめざぜんそうは,非常に苦いが,その苦さは土地によって異なるといいます。

(アイヌ語)
"Kikigaki Aynu no Syokuzi" or ta Sutnay (Sizunai) or ta ene suke=an hi a=nuye wa an; a=suwe wa nani a=e kor, earkinne siw pe ne korka, oya kotan ta paye=an wa a=e yakun, humne eytasa siw, humne somo siw nankor.
「聞き書 アイヌの食事」 オ タ スッナイ (静内) オ タ エネ スケアン ヒ アヌイェ ワ アン; アスウェ ワ ナニ アエ コ、 エアキンネ シウ ペ ネ コカ、 オヤ コタン タ パイェアン ワ アエ ヤクン、 フネ エイタサ シウ、 フネ ソモ シウ ナンコ。

(エスペラント)
 
 

ゆでて乾燥し保存しておいたものを,ぬるま湯にもどし,弱火で長時間煮込むことによって,砂糖を加えたように甘くなります。

(アイヌ語)
a=sakanke wa a=satke wa anu. orowano, a=e hi ta anakne, ru popke wakka or a=omare wa hawkeno a=suwe. ohonno an kor, oro sato a=omare pekor topen ruwe ne.
アサカンケ ワ アサッケ ワ アヌ。オロワノ、 アエ ヒ タ アナネ、 ル ポケ ワッカ オ アオマレ ワ ハウケノ アスウェ。 オホンノ アン コ、 オロ 砂糖 アオマレ ペコ トペン ルウェ ネ。

(エスペラント)
 
 

器に盛り付けたヒメザセンソウの上に脂をのせて,

(アイヌ語)
patci or ta newaanpe a=anu wa, kasi sum a=usi.
パッチ オ タ ネワアンペ アアヌ ワ、 カシ ス アウシ。

(エスペラント)
 
 

神に供したり,ごはんがわりにもよく食べました。

(アイヌ語)
kamuynomi=an hi ta neno a=kar ka ki, ora, ouse ipe ne a=e ka ki ruwe ne.
カムイノミアン ヒ タ ネノ アカ カ キ、 オラ、 オウセ イペ ネ アエ カ キ ルウェ ネ。

(エスペラント)
 
 

春のカムイノミに供える貴重な食べ物でした。

(アイヌ語)
paykar an wa kamuynomi=an kor, sikerpekina eyamno a=e p ne ruwe ne.
パイカ アン ワ カムイノミアン コ、 シケペキナ エヤノ アエ ネ ルウェ ネ。

(エスペラント)
 
 

熊をとってきた時は,大きななべにシケレぺキナを炊いて立派なパッチに入れて,カムイラタシケップとして神に供してから,男たちが食べ,その後女た ちが食べました。
『聞き書 アイヌの食事』 1992年 (社)農山漁村文化協会 p.59-60, p.41

(アイヌ語)
kamuy a=rayke kor, poro su ani sikerpekina a=suwe wa, pirka patci or a=omare wa, kamuyrataskep ne a=kar hine, ani kamuynomi=an. imakake ta, hoskino okkayo utar e wa, osi menoko utar e p ne ruwe ne.
カムイ アライケ コ、 ポロ ス アニ シケペキナ アスウェ ワ、 ピカ パッチ オ アオマレ ワ、 カムイラタケ ネ アカ ヒネ、 アニ カムイノミアン。 イマカケ タ、 ホキノ オッカヨ ウタ エ ワ、 オシ メノコ ウタ エ ネ ルウェ ネ。

(エスペラント)
 
 

浦河地方では,春先に最も多くとれる植物です。

(アイヌ語)
Poynay (Urakawa) or ta anakne, paykar an kor sikerpekina iyotta poronno a=kar pene ruwe ne.
ポイナイ (浦河) オ タ アナネ、 パイカ アン コ シケペキナ イヨッタ ポロンノ アカ ペネ ルウェ ネ。

(エスペラント)
 
 

ヒメザゼンソウを食べることを人間に教えたのは,ヒグマの神と言われています。

(アイヌ語)
aynu sikerpekina e kuni epakasnu kamuy anak, kimunkamuy ne yak a=ye.
アイヌ シケペキナ エ クニ エパカヌ カムイ アナ、 キムンカムイ ネ ヤ アイェ。

(エスペラント)
 
 

春先には,小熊を飼育するのに飼料としています。
 『聞き書 アイヌの食事』 1992年 (社)農山漁村文化協会 p.91-92

(アイヌ語)
paykar an kor, newaanpe pewrep a=ere ka ki ruwe ne.
パイカ アン コ、 ネワアンペ ペウレ アエレ カ キ ルウェ ネ。

(エスペラント)
 
 


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