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アイヌ語新聞「アイヌタイムズ」の記事「オオバコ」
(第27号、2003年(平成15年)9月22日(月)アイヌ語ペンクラブ発行 3〜5ページ引用)
(第27号日本語版、12月22日(月)アイヌ語ペンクラブ発行 1〜2ページ引用) 

erumkina
エルキナ


Plantago


注)版権は、アイヌ語ペンクラブにあります。

  注)1. 赤字は、アイヌ語です。
    2. 赤字のイタリック文字は、日本語です。相当することばが、アイヌ語にありませんでした。
    3. 
山形記号「^」は、日本語の長母音を示しています。
    4. 緑字は、エスペラント(語)です。


Ôbako anak nihon epitta an wa, usa aporose p (rehe) oka.
オオバコ アナ 日本 エピッタ アン ワ、 ウサ アポロセ (レヘ) オカ。

オオバコは、日本のどこにでもあるので、各地で色々な呼び方があります:
En Japanio troviĝas plantago ĉie, tial en multaj lokoj troviĝas multaj nomoj.

 

Ene a=ye hi; "onbako", "obako", "gyâroppa", "kaeroppa", "gêroppa", "maruba", "marukoba", "terikobako" sekor a=ye.
エネ アイェ ヒ; オンバコ、 オバコ、 ギャー口ッパ、 力エロッパ、 ゲェーロッパ、 マルバ、 マルコバ、 テリコバコ セコ アイェ。

こう言います; オンバコ、オバコ、ギャー口ッパ、力エロッパ、ゲェーロッパ、マルバ、マルコバ、テリコバコ。
Oni diras jene: "onbako", "obako", "gyaroppa", "kaeroppa", "geroppa", "maruba", "marukoba", "terikobako".

 

Aynu itak ani "erumkina" sekor a=ye p ne ruwe ne.
アイヌ イタ アニ 「エルキナ」 セコ アイェ ネ ルウェ ネ。

アイヌ語では、「エルキナ」と呼ばれています。
Oni nomas plantago "erumkina" en aina lingvo.

 

TIRI Masiho "bunrui-aynu-go-ziten" ka ta ene a=nuye hi; "Ne ukonko ermu sar neno an kusu, newaanpe 'erumkina' sekor a=ye p ne ruwe ne, sekor sine onne kur hawean" sekor a=nuye wa an.
知里真志保「分類アイヌ語辞典」 カ タ エネ アヌイェ ヒ; "ネ ウコンコエム サ ネノ アン クス、 ネワアンペ エルキナ セコ アイェ ネ ルウェ ネ、 セコ シネ オンネ ク ハウェアン" セコ アヌイェ ワ アン。

知里真志保の「分類アイヌ語辞典」には、以下のように書かれています: 「「穂がねずみの尾に似ているからそう呼ばれる。」と古老が言った。」と書かれています。
(『知里真志保著作集 別巻T 分類アイヌ語辞典 植物編・動物編』1976年 平凡社 p.33)
En klasigita ainalingva vortaro (=Bunrui-Ainugo-Ziten) TIRI Masiho (pronouncu: ĉiri maŝiho) skribas jene: "La maljunulo diras, ke ĝia spiko estas simila al rata vosto". (La aina vorto "erum" estas rato. La vorto "kina" estas herbo.)

 

Kawakami Matsuko katkemat ene hawean i; "Newaanpe a=popte wa a=ku hi ka an. A=kotukka hi ka an.
川上まつ子 カッケマッ エネ ハウェアン イ; 「ネワアンペ アポテ ワ アク ヒ カ アン。アコトゥッカ ヒ カ アン。

川上まつ子さんは、次のように言ってます: 「これは煎じて飲むのと、それから、できたものにも貼り付けて使う。
S-ino KAWAKAMI Macuko diras jene: "Oni trinkas varman akvon kun ĝi infuzita. Oni almetas ĝin al vundo.

 

Akusu, newaanpe orowa wen pene p a=sanke sekor a=ye ruwe ne.
アクス、 ネワアンペ オロワ ウェン ペネ アサンケ セコ アイェ ルウェ ネ。

そうすれば、悪いつゆを吸い上げるだっていって。
Tiam ĝi elsuĉas la vundan akvon.

 

Wen pene p a=sanke kor, yenu wa pirka ruwe ne.
ウェン ペネ アサンケ コ、 イェヌ ワ ピカ ルウェ ネ。

悪いつゆを吸い出しているうちに膿も出たり、膿のねっこが出ればもう後、治ってくるの。
Elsuĉante la akvon, se ĝi elpremas puson,oni resaniĝas.

 

Kanna kanna a=itasare ruwe ne.
カンナ カンナ アイタサレ ルウェ ネ。

何回も貼り替えるんだ。
Multfoje oni rekovras tion.

 

Erumkina a=kar wa nani a=sesekka kor, riten wa a=eywanke easkay.
エルキナ アカ ワ ナニ アセセッカ コ、 リテン ワ アエイワンケ エアカイ。

火にあぶれば柔らかくなるの。 採ってすぐ。
Se oni kolektas la plantagon tuj vermigas ĝin per fajro, ĝi fariĝas mola.

 

Newaanpe sekiri an hi ta a=popte wa a=ku kor iyotta pirka ruwe ne.
ネワアンペ セキリ アン ヒ タ アポテ ワ アク コ イヨッタ ピカ ルウェ ネ。

ちょっと火にあぶって柔らかくなったら使える。
Se oni iom varmiĝas ĝin per fajro, kaj ĝi fariĝas mola, tiel oni povas uzi ĝin.

 

Ku=ona re cup utur ta pakno sekiri kar hi ta, na tasutuy anki kuni ku=ramu.
クオナ レ チュ ウトゥ タ パノ セキリ カ ヒ タ、 ナ タストゥイ アンキ クニ クラム。

煎じて飲んでいいのは、腹、赤痢の時の薬に最高良かったの。
Se oni havas stomakdoloron aŭ disenterion, oni trinkas varman akvon kun ĝi infuzita, kaj ĝi estas tre efika kiel drog.

 

Korka, hetopo horka siknu wa, ine hotne pa pakno an ruwe ne. Ne tasum a=pirkare kuni a=kure hi k=esikarun.
カ、 ヘトポ ホカ シヌ ワ、 イネ ホッネ パ パノ アン ルウェ ネ。ネ タス アピカレ クニ アクレ ヒ ケシカルン。

うちの親父がその赤痢で三ケ月、もう駄目だと思ったもの生き抜いてから八十なんぼまで生きていたんだもの、それを助けるために使って覚えているの。
Mia patro havas disenterion dum tri montoj. Mi pensis, ke li mortos. Sed li vivas ĝis ĉirkaŭ 80 jaroj.

 

Kunne ayusni sinrit neya, erumkina sinrit neya, a=popte wa a=namka hine, wakka ku rusuy kur an hi ta a=kure ruwe ne."
クンネ アユニ シンリッ ネヤ、 エルキナ シンリッ ネヤ、 アポテ ワ アナカ ヒネ、 ワッカ ク ルスイ ク アン ヒ タ アクレ ルウェ ネ。」

クマイチゴの根とオオバコの根と煎じて冷ましておいて、水欲しがる時、飲ましてやる。」
(『川上まつ子の伝承-植物編1-』(財)アイヌ民族博物館編 1999年 (財)アイヌ民族博物館 p.18〜p.20)
Oni infuzas la radikojn de "Rubus cratagifolius" kaj ilin de plantago, malvarmigas ilin. Kaj se oni volas trinki akvon, oni trinku.

 

Nakamoto Mutsuko katkemat ene hawean i; "Ku=seturu hupo kor totto erumkina sesekka wa en=kotukka akusu pirkano ye=nu."
中本ムツ子 カッケマッ エネ ハウェアン イ; 「クセトゥル フポ コ トット エルキナ セセッカ ワ エンコトゥッカ アクス ピカノ イェヌ。」

中本ムツ子さんは、以下のように言ってます: 「背中に腫れ物ができたとき、母はオオバコをあぶって貼ってくれました。するとよく膿が出ました。」
(『アイヌの知恵・ウパクマ』1999年 片山言語文化研究所 p.20からの引用)
S-ino NAKAMOTO Mutuko (pronoucu: mucuko) diras jene; "Kiam mi ŝvelis sur mia dorso, mia patrino sekigis la plantagon kaj surgluis ĝin. Tial la vundo pusas.

 

Nippon, Tisima, Karapto (Saharin), Tûgoku, Taiwan, Higasi-Siberia, Marêsia or us pe ne.
日本、 千島、 カラト (サハリン)、 中国、 台湾、 東シベリア、 マレーシア オ ペ ネ。

日本の他に、千島、サハリン、中国、台湾、東シベリア、マレーシアに分布し、
Ĝi troviĝas en Kurilaj Insuloj, Saĥaleno, Ĉinio, Tajvano, la orienta Siberio kaj Malajzio krom Japanio.
 

Nup ka us yayan kina ne ruwe ne.
カ ウ ヤヤン キナ ネ ルウェ ネ。

草地に普通に見られます。
Ĝi ĝenerale troviĝas en herbejo.

 

Erumkina anak "Plantago asiatica" sekor gakumei an. "asiatica" anak "Azia" sekor a=ye hi ne ruwe ne."
エルキナ アナ 「Plantago asiatica」 セコ 学名 アン。 asiatica アナ 「アジア」 セコ アイェ ヒ ネ ルウェ ネ。"

学名である「Plantago asiatica」の asiatica は、「アジア」と言うことを意味します。
La vorton "azia" signifas la "asiatica" en la scienca nomo "Plantago asiatica".

 

"planta" itak ipehe Raten-go ani "ureasam" sekor a=ye p ne wa, "plantago" anak, ureasam koraci sipirasa ham an hi a=porose p ne ruwe ne.
「planta」 イタ イペヘ ラテン語 アニ 「ウレアサ」 セコ アイェ ネ ワ、 「plantago」 アナ、 ウレアサ コラチ シピラサ ハ アン ヒ アポロセ ネ ルウェ ネ。

Plantagoは、ラテン語の Planta「足の裏」に由来し、葉の開いた状態を表します。
La vorto "plantago" devenas de la latina vorto "planta", kiu signifas plandon. Ĝi signifas, ke la folioj malfermiĝas.

 

Kanpô or ta, sat kina sinrici anak "syazensô" sekor a=ye p ne wa, epuyke anak "syazensi" sekor a=ye p ne.
漢方 オ タ、 サッ キナ シンリチ アナ 「車前草(シャゼンソウ)」 セコ アイェ ネ ワ、 エプイケ アナ 「車前子(シャゼンシ)」 セコ アイェ ネ。

漢方では、乾燥した全草は「車前草(シャゼンソウ)」、種子は「車前子(シャゼンシ)」といいます。
En ĉina medicino oni nomas sekigitajn foliojn "ŝazensoo" kaj semon "ŝazenŝi".

 

"Syazensô" a=popte wa ruri a=kar. ruri anakne, okuyma=an hi ta neya, omkekar=an hi ta neya, hocaku=an hi ta neya a=ku kor pirka ruwe ne.
「車前草(シャゼンソウ)」 アポテ ワ ルリ アカ。ルリ アナネ、 オクイマアン ヒ タ ネヤ、 オケカラン ヒ タ ネヤ、 ホチャクアン ヒ タ ネヤ アク コカ ルウェ ネ。

全草の煎汁を、利尿、咳止め、下痢止めに用います。
Oni infuzas la foliojn. Kiam oni volas urini kaj tusas kaj laksas, ĝi estas bona drogo.

 


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