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アイヌ語新聞「アイヌタイムズ」の記事「トリカブト」
(第25号、2003年(平成15年)4月7日(月)アイヌ語ペンクラブ発行 9~11ページ引用)
(第25号日本語版、6月30日(月)アイヌ語ペンクラブ発行 3~4ページ引用)
Surku
スㇽク
トリカブト
Akonito
注)版権は、アイヌ語ペンクラブにあります。
注)1. 赤字は、アイヌ語です。
2. 赤字のイタリック文字は、日本語です。相当することばが、アイヌ語にありませんでした。
3. 山形記号「^」は、日本語の長母音を示しています。
4. 緑字は、エスペラント(語)です。
Torikabuto anak aynu itak ani surku sekor a=ye p ne ruwe ne.
トリカブト アナㇰ アイヌ イタㇰ アニ スㇽク セコㇿ ア・イェ ㇷ゚ ネルウェ ネ。
トリカブトをアイヌ語でスㇽクと言います。
Oni nomas akoniton "surku " en la aina lingvo.
Surku ani kamuy neya yuk neya a=ronnu.
スㇽク アニ カムイ ネヤ ユㇰ ネヤ ア・ロンヌ。
トリカブトの毒で熊や鹿などを獲りました。
lam oni kaptis kaj urson kaj cervon per akonitajo.
Surku us ay ani a=cotca kor, kamuy hoskino rayhocikacika, korka uwepakta kirorsak wa yaynutunnu wa, koysum tak ekupa kane, ayne ray ruwe ne.
スㇽク ウㇱ アイ アニ アチョッチャ コㇿ、 カムイ ホㇱキノ ライホチカチカ、 コㇿカ
ウウェパㇰタ キロㇿサㇰ ワ ヤイヌトゥンヌ ワ、 コイスㇺ タㇰ エクパ カネ、 アイネ ライ ルウェ ネ。
トリカブトの毒を付けた矢に、当たった熊は、最初は暴れるが、徐々に静かになり、気力を失って、口から泡を吹いて死にます。
Ia urso, trafita per la sago kun akonitajo, unue furiozas, iom post iom
kvietiĝas, fariĝas malvigla, ŝaŭmas el buŝo, kaj mortas.
Cikoykip surkukamuy orowa a=ihoskire kuni a=ramu.
チコイキㇷ゚ スㇽクカムイ オロワ ア・イホㇱキレ クニ アラム。
スㇽクカムイ(毒の神)が獲物を酔わせるからだと考えられていました。
Aino pensis, ke la akonita dio ebriigas kaptajon. Aino pensis, ke dio ekzistas
en ajo neatingchla per homa saĝo.
Ponno ponno huttat surku a=usi wa, a=parunpe ka ta néwaanpe a=anu.
ポンノ ポンノ フッタッ スㇽク ア・ウシ ワ、 ア・パルンペ カ タ ネワアンペ ア・アヌ。
微量を笹の葉に塗り,舌にのせました。
Aino ŝmiris sasan folion per iom da akonitajo, kaj metis ĝin sur lango.
Ne surku yupke ya ka, ani a=eraman ruwe ne.
ネ スㇽク ユㇷ゚ケ ヤ カ、 アニ ア・エラマン ルウェ ネ。
その毒が強いかどうかを、それによって知りました。
Laŭ tio aino kompronis, ĉu ĝia veneno estas forta aŭ malforta.
Néwaanpe "surku sapke"sekor a=ye.
ネワアンペ 「スㇽク サㇷ゚ケ」 セコㇿ ア・イェ。
これは、「スㇽク サㇷ゚ケ(毒の塩梅を見る)」と言われます。
Aino nomas tion "surku sapke (Oni provas ĝian venenon.)"
Nenkane a=utari surkukar=an kor, nani ray=an pe ne.
ネンカネ ア・ウタリ スㇽクカㇻ・アン コㇿ、 ナニ ライ・アン ペ ネ。
私たちが間違って毒にかかると、すぐ死にます。
Se oni misprenas la venenon, tuj mortas.
Sunazawa Kura katkemat nuye hi ene oka hi:
砂沢クラ カッケマッ ヌイェ ヒ エネ オカ ヒ:
砂沢クラさんは、以下のように書きました:
S-ino SUNAZAIA Kura, ainino el la Hokkajda urbo Asahikawa, skribis jene:
"Pet turasi paye=as awa, un=ekari pon unarpe hoyupu wa san. pon acapo
kúkan sekor itak tek hoyupu oman.
「ペッヅ ヅラシ バヱアシアワ、 ウンエカリ ボン ウナラベ ホユブ ワ サン。ボン アザボ クーカン セコㇿ イタッㇰテック ホユブ オマン。
「若いおばさん、走ってきて、若いおじさん熊取りしかけにかかったと言って走った。
Post kiam juna onklo kaj juna onklino iris supren laŭ rivero, la onklino
kuris al ni malsupren kaj diras, ke la onklo estis trafita per kaptilo
por urso,
Hampe totto sike pase wa iorawki sirepa=as awa isirkurante, pon acapo ene wa póka yaykar i ka koerampetek, ipa kor an.
ハンペ トット シケ バセ ワ イオ ラウキ シレバ アッス アワ イシリ クランデ ボン アザボ エネワ ボカ ヤイカリカ コエ ラン ペテック イバ コロ アン。
父母は荷物が重くて遅く着きましたから、かわいそうに若いおじさん苦しんで身のやり場がないようにころがっていました。
Miaj gepatroj alvenis malfrue pro peza ŝarĝo, tial juna onklo suferis kaj
ruliĝis kiel senhelpe.
Orwa kesto kesto ay pirihi mun sinrit ani kasi an=oyki yakka nani ekota
wen kasuy.
オㇿワ ケシトケシト アイ ビリヒ ムン シンリッツ゚ アニ カシ アン オイキ ヤッカ ナニ エコタ ヱン カスイ。
それから、毎日毎日、矢の傷、草の根で直したが,だんだん悪くなって、
Kaj tagon post tagon oni kuracis la vundon de sago per medicina herba radiko,
sed pli kaj pli li malbonfartis.
Ponno pirka ikeka kanna suy wen. sine an ta tumam kasi huppa okere. ne to ta mawtuy."
ボンノ ピリカ イケカ カンナ スイ ヱン。シネアンタ ヅマン カシ フッバ オケレ。ネ ト タ マウヅイ。」
少し良くなっても、また悪くなり、ある日からだ全体が腫れて、その日に亡くなりました。」
(『私の10代の思い出』砂沢クラ著 昭和58年 みやま書房
p.33-34)
Iom bonfartis, poste ree malbonfartis. En unu tago la korpo ŝvelis kaj
en la tago li mortis.
(Watasi no jûdai no omoide (Rememoro on mia dekan jaron),
vorkita de s-ino SUNAZAWA Kura, 1983, Miyamaŝobô, p.33-34)
Nakamoto Mutsuko katkemat ene hawean hi: "Kina naa pon hi ta surku ka ohawkina ka uneno an korka kina poro hi ta katuhu usinnano an."
中本ムツ子 カッケマッ エネ ハウェアニ: 「キナ ナア ポン ヒ タ スㇽク カ オハウキナ カ ウネノ アン コㇿカ キナ ポロ ヒ タ カトゥフ
ウシンナノ アン。」
中本ムツ子さんは以下のように言いました: 「トリカブトとニリンソウは、まだ小さいうちは似てます。 しかし、大きくなれば違いがはっきりします。
(『ウパㇱクマ1』・中本ムツ子編・解説・片山龍峯 1999年片山言語文化研究所 p.59)
S-ino NAKAMOTO Mutuko, ainino el la Hokkajda urbo Titose, skribas jene:
"La
akonito kaj la duflora anemono estas similaj kiam ili estas junaj. (La duflora
anemono estas manĝebla herbo.) Sed kiam ili kreskas, oni komprenas la
malsamecon. (Upaskuma (Aina legendo), kompilita de s-ino NAKAMOTO Mutsuko,
klarigita de s-ro KATAYAMA Tatumine, 1999,Katayama-Gengobunka-kenkjûĵo,
p.59)
Paykar an kor ohawkina nonno hecirasa. ne nonno retar. cuk an kor surku
nonno hecisara. ne nonno siwnin.
パイカㇻ アン コㇿ オハウキナ ノンノ ヘチラサ。 ネ ノンノ レタㇻ。 チュㇰ アン コㇿ スㇽク ノンノ ヘチサラ。 ネ ノンノ シウニン。
春になると、二リンソウの花が咲きます。 花は白です。 秋になると、トリカブトの花が咲きます。 花は紫です。
Printempe floras la duflora anemono. La koloro eatas blanka. Aŭtune floras
la akonito. La koloro estas purpura.
Ohawkina kuttar ne korka, surku anak somo ne. surku kina a=yaku kor húra
wen ruy korka, ohawkina somo húra wen.
オハウキナ クッタㇻ ネ コㇿカ、 スㇽク アナㇰ ソモ ネ。 スㇽク キナ ア・ヤク コㇿ フラ ウェン ルイ コㇿカ、 オハウキナ ソモ フラ ウェン。
ニリンソウの茎は中空ですが、トリカブトの茎は違います (編註: 中が随で塞がっています)。 トリカブトの茎は潰すと、ピリッと苦臭いがしますが、ニリンソウは刺激臭はありません。
Malplena estas la eno de duflora anemona tigo, sed plena estas tiu de akonila
tigo. Se oni dispremas akonitan tigon, ĝi donas fian odoron. Sed duflora
anemono ne donas tian odoron.
Surku motoho "Akonitin-gata Arukaroido" ne wa, ani sinkeisaibô surkukar pe ne. surku a=e yakun, tukunne=an wa rewarewak=an ayne, ray=an
ruwe ne.
スㇽク モトホ 「アコニチン型アルカロイド」 ネ ワ、 アニ 神経細胞 スㇽクカㇻ ペ ネ。 スㇽク ア・エ ヤクン、 トゥクンネ・アン ワ レワレワㇰ・アン アイネ、 ライ・アン ルウェ
ネ。
トリカブトの毒成分である「アコニチン型アルカロイド」は、神経細胞に作用します(編註: 「神経毒」)。 トリカブトを食べると、体じゅうがしびれ、体が弱くなり,死にます。
Se oni dispremas akonitan tigon, ĝi donas fian odoron. Sed duflora anemono
ne donas tian odoron. La nervoĉelojn perturbas la akonita venena komponanto
"alkaloido de akonitina tipo.
Kanpô or ta surku Busi sekor a=ye kusuri ne a=kar. korka, surku an kusu isa patek a=eywanke somo
ki yak wen ruwe ne.
漢方 オッタ スㇽク 附子(ぶし) セコㇿ ア・イェ クスリ ネ ア・カㇻ。 コㇿカ、 スㇽク アン クス イサ パテㇰ ア・エイワンケ ソモ
キ ヤㇰ ウェン ルウェ ネ。
漢方では、トリカブトから附子(ぶし)という薬が作られます。 しかし、毒があるので,医者しか使ってはいけません。
Laŭ ĉina medicine oni faras la ĉinan medikamenton Buŝi (farita el seka
radiko) el akonito. Ĝi havas venenon, tial nur doktoro povas uzi ĝin.