イケマ

（アイヌ語）
ikema
イケマ
（エスペラント）
Cynanchum caudatum, ikema [japane]

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イケマは、匂いが強いので、悪い神も流行り病もそれを嫌がると言われています。イケマをかんで病人に向かって吹いたり、家の中で吹いたり、首から下げたりしました。

（アイヌ語）
ikema hura ruy pe ne kusu, wen kamuy ka pakor kamuy ka emaka sekor a=ye. ikema a=kuy wa siyeye kur eun a=ewar ka ki, cise or ta a=ewar ka ki, a=rekuci orowa a=racitkere ka ki.
イケマ フラ ルイ ペ ネ クス、 ウェン カムイ カ パコ�� カムイ カ エマカ セコ�� アイェ。 イケマ アクイ ワ シイェイェ ク�� エウン アエワ�� カ キ、 チセ オ�� タ アエワ�� カ キ、 アレクチ オロワ アラチッケレ カ キ。
（エスペラント）
Aino diras, ke malpla�ﾝaj estas aina-dioj malbonaj a�� infektantaj iujn per malsano, �ﾝar forta estas la odoro de la plantradiko "ikema" nomata latine "Cynanchum caudatum". Kaj ili mordis ikema-on, elspiras �ﾞin al la malsanulojn a�� elspiras �ﾞin en domo a�� pendigis �ﾞin de kolo.
 

知里真志保さんは、次のように言いました：「イケマは、「カムィ・ケマ（神の足）」だろうと思います。草の根は、「そのケマ（草の根）」を言い表わすこともあります。」

（アイヌ語）
Tiri Masiho nispa ene hawean hi: "ikema anakne "kamuy-kema" ne nankor sekor ku=yaynu. kina sinrit 'kema' sekor a=porose hi ka an."
知里真志保 ニ��パ エネ ハウェアン ヒ: "イケマ アナ��ネ "カムイ-ケマ" ネ ナンコ�� セコ�� クヤイヌ。 キナ シンリッ 'ケマ' セコ�� アポロセ ヒ カ アン。"
（エスペラント）
S-ro TIRI Ma�疂ho diris jene: Mi pensas, ke �ﾞi estas "kamuy-kema" signifanta la aina-dian piedon. Iuj el ainoj nomas la herban radikon "kama", kiu signifas �ﾞian piedon.
 

イケマは、「シンリッ（根）」とか、「ペヌプ（汁を持つもの）」とか言い表すところもあります。

（アイヌ語）
ikema anakne "sinrit" neya "penup" neya a=porose hi ka an.
イケマ アナ��ネ "シンリッ" ネヤ "ペヌ��" ネヤ アポロセ ヒ カ アン。
（エスペラント）
Iuj nomas "ikema"-on, "sinrit" signifanta la radikon a�� "penup" signifanta la suka�瀰n.
 

その根を切ると乳のような汁がしたたるので、ペヌプ（汁を持つもの）と言われています。

（アイヌ語）
sinrici a=tuye yakun topehe cik kusu penup sekor a=ye.
シンリチ アトゥイェ ヤクン トペヘ チ�� クス ペヌ�� セコ�� アイェ。
（エスペラント）
Kiam oni tran�ﾝas la radikon, la suko kiel lakto gutas. Tial oni nomas �ﾞin "penup (signifanta la suka�瀰n)".
 

川上まつ子さんは次のように言いました：「うちのおっかあたち風邪でもひいた時なもんだか、イケマを刻んで家の中で吹いたりしたのを見たことがある。わしら小さかった頃は、ポンプクル（pon pukuru 小袋）さ、おっかあが、スルククスリ（surkukusuri ショウブ）とかイケマとか入れて、首から下げらしてくれたもんだ。15、6頃まで、それ首に下げらしたもんであったよ。イケマやスルククスリは、ハコ　オロ　アオマレ（棺桶に入れる）したら、アナンシリ（死者）持っていくポンプクルだの入れてしまった。」

（アイヌ語）
Kawakami Matuko katkemat ene hawean hi: "ku=kor hapo k=omkekar hi ta ikema tata wa cise or ta ewar siri ku=nukar amkir. ku=pon i ta, ku=kor hapo anakne, pon pukuru or surku-kusuri neya ikema neya omare wa ku=rekuci orowa racitkere ruwe ne. asikne pa ikasma wan pa, iwan pa ikasma wan pa ku=ne hi pakno, newaanpe racitkere ruwe ne. ikema, surku-kusuri hako (kan'oke) or a=omare hi ta, anansir kor pon pukuru or a=omare ruwe ne."
川上まつ子 カッケマッ エネ ハウェアン ヒ: "クコ�� ハポ コ��ケカ�� ヒ タ イケマ タタ ワ チセ オ�� タ エワ�� シリ クヌカ�� ア��キ��。 クポン イ タ、 クコ�� ハポ アナ��ネ、 ポン プクル オ�� ス��ク-クスリ ネヤ イケマ ネヤ オマレ ワ クレクチ オロワ ラチッケレ ルウェ ネ。 アシ��ネ パ イカ��マ ワン パ、 イワン パ イカ��マ ワン パ クネ ヒ パ��ノ、 ネワアンペ ラチッケレ ルウェ ネ。 イケマ、 ス��ククスリ ハコ （棺おけ） オ�� アオマレ ヒ タ、 アナンシ�� コ�� ポン プクル オ�� アオマレ ルウェ ネ。"
（エスペラント）
S-ino KAWAKAMI Macuko diris jene:"Kiam oni malvarmumis, mia patrino distran�ﾝis ikema-on kaj mi vidis �疂n elspiras �ﾞin. Kiam mi estas malgranda, mia patrino enmetis surkukusuri-on, t.e. akoron, a�� ikema-on en mia saketo kaj pendigis �ﾞin de kolo. �ﾘis kiam mi estas cirka�� 15-jara a�� 16-jara, mi pendigis �ﾞin de kolo. Kiam oni metas iun en �ﾝerkon, oni enmetis ikema-on a�� surkulusuri-on (akoron) en la saketo kun mortinto."
 

イケマを焼いたり、煮たりして、食べましたが、親指くらいものを２つも食べると中毒を起こしたので、警戒したと言われています。大きいものは、5cmほどに太くなり、50cmくらい長くなります。

（アイヌ語）
ikema a=ma ka ki, a=suwe ka ki kane a=e korka, ruweaskepet pakno an pe tup a=e yakun iyoski=an kusu, yaitupare sekor a=ye. poro hike 5cm pakno ruwe wa 50cm pakno tanne ruwe ne.
イケマ アマ カ キ、 アスウェ カ キ カネ アエ コ��カ、 ルウェア��ケペッ パ��ノ アン ペ トゥ�� アエ ヤクン イヨ��キアン クス、 ヤイトゥパレ セコ�� アイェ。 ポロ ヒケ 5ｃｍ パ��ノ ルウェ ワ 50ｃｍ パ��ノ タンネ ルウェ ネ。
（エスペラント）
Oni rostis a�� boligis ikema-on kaj man�ﾞis �ﾞin. Oni diras, kiam oni man�ﾞis du ikema-ojn grandajn kiel dikfingro, oni toksi�ﾞis, tial oni avertis. La grandaj ikema-oj fari�ﾞas dika kiel 5cm kaj longa kiel 50cm.
 

青木愛子さんは次のように言いました：「老婆がイケマの根塊を黒く焼いてかじっているのを見たことがあります。老人は長生きのための薬だと言っていました。」

（アイヌ語）
Aoki Aiko katkemat ene hawean hi: "huci ikema ma wa kunnere wa e siri ku=nukar amkir. huci anak, 'tanpe kusuri ne k=e yakun, ney ta pakno ku=iwanke' sekor ye."
青木愛子 カッケマッ エネ ハウェアン ヒ: "フチ イケマ マ ワ クンネレ ワ エ シリ クヌカ�� ア��キ��。 フチ アナ��、 'タンペ クスリ ネ ケ ヤクン、 ネイ タ パ��ノ クイワンケ' セコ�� イェ。"
（エスペラント）
S-ino AOKI Aiko diras jene: "Mi vidis, ke la maljunulino nigre rostis la radikon de ikema-o. La maljunulino diris, ke �ﾞi estas drago por longa vivo."
 

萱野茂のアイヌ語辞典には、次のように書かれています：「イケマを焼いて食べる時、あまり多く食べるとそれによって酔っぱらったようになり、ふらふらして、時にはそれで死ぬこともあるそうだ。」

（アイヌ語）
Kayano Sigeru no Aynugo-ziten or ta ene kampinuye hi: "ikema a=ma wa a=e hi ta eytasa a=e kor kusu iyoski=an wa a=ekoca kunine an kor a=ekot pe ne yak a=ye."
萱野茂のアイヌ語辞典 オ�� タ エネ カンピヌイェ ヒ: "イケマ アマ ワ アエ ヒ タ エイタサ アエ コ�� クス イヨ��キアン ワ アエコチャ クニネ アン コ�� アエコッ ペ ネ ヤ�� アイェ。"
（エスペラント）
En aina-japana vortaro de KAYANO Sigeru oni trovas jene: "Kiam oni rostas kaj man�ﾞas ikema-ojn, se oni man�ﾞas multe, oni �畭nceli�ﾞas kiel ebriulo, foje oni mortas pro tio."
 

この毒の元は、シナンコトキシンといわれるものだそうです。これは、飲むと心臓がよくなるものだと言われています。また、それでうまくおしっこをするものだと言われています。

（アイヌ語）
ne surku motoho Sinankotokisin sekor a=ye p ne hawe ne. newaanpe a=ku kor, kusu sampe pirka p ne yak a=ye. orowano, kusu pirkano okuyma=an pe ne yak a=ye.
ネ ス��ク モトホ シナンコトキシン セコ�� アイェ �� ネ ハウェ ネ。 ネワアンペ アク コ��、 クス サンペ ピ��カ �� ネ ヤ�� アイェ。 オロワノ、 クス ピ��カノ オクイマアン ペ ネ ヤ�� アイェ。
（エスペラント）
Oni diras, ke �ﾞia venena esenco estas cynanchotoxin. Kiam oni trinkas tion, �ﾞi bonigas koron la�� onidiro. Kaj oni povas bone pisi pro tio la�� onidiro.
 

イケマは、「Cynanchum caudatum（クュナンクム　カウダトゥム）」という学名です。「Cynanchum （クュナンクム）」のことばの意味は、「犬を殺すもの」です。日本ではイケマ（カモメヅル属、ガガイモ科）という名前です。

（アイヌ語）
ikema anakne "Cynanchum caudatum" sekor gakumei an. "Cynanchum" itak'ipe anak "seta rayke p" ne. sisam or ta ikema (kamomeduru-zoku, gagaimo-ka) sekor re an.
イケマ アナ��ネ "クュナンクム　カウダトゥム" セコ�� 学名 アン。 "クュナンクム" イタ��イペ アナ�� "セタ ライケ ��" ネ。 シサ�� オ�� タ イケマ （カモメヅル属、ガガイモ科） セコ�� レ アン。
（エスペラント）
La scienca nomo de ikema-o estas "Cynanchum caudatum". La signifo de "Cynanchum" estas "a�瀰 mortiganta hundon." En Japanio anka�� oni nomas �ﾞin, "ikema" (la genro "kamonezuru", la familio "gagaimo").
 

イケマは、ヤワニ（南千島）やアイヌモシリ（北海道）、日本、中国にも生えているものです。山に生えるもので、ツタになります。７、８月に花が咲き、８、９月に実がなります。

（アイヌ語）
ikema anak yawani (Minami-tisima), aynumosir (Hokkaido), Nippon, Ty�身oku or us pe ne. kim un us pe ne wa, punkar ne ruwe ne. 7, 8 cup or ta nonno o wa 8, 9 cup or ta numus ruwe ne.
イケマ アナ�� ヤワニ （南千島）、 アイヌモシ�� （北海道）、 日本、 中国 オ�� ウ�� ペ ネ。 キ�� ウン ウ�� ペ ネ ワ、 プンカ�� ネ ルウェ ネ。 7、 8 チュ�� オ�� タ ノンノ オ ワ 8、 9 チュ�� オ�� タ ヌム�� ルウェ ネ。
（エスペラント）
En yawani (Minami-�ﾝi�疂ma), aynumosir (Hokkajdo), Nippon (Japanio) kaj �ﾗinio, ikema-o kreskas. �ﾘi kreskas en monto, fari�ﾞas kiel hedero. En julio a�� a�稟usto, floras, en a�稟usto a�� septembro, fruktas.
 

「知里真志保　分類アイヌ語辞典」には、こう書かれています：

（アイヌ語）
"Tiri Masiho Bunrui-Aynugo-Ziten" or ta ene kampinuye hi:
"知里真志保　分類アイヌ語辞典" オ�� タ エネ カンピヌイェ ヒ:
（エスペラント）
En la aina-lingva vortaro "�ﾗiri Ma�疂ho Bunrui-Aynugo-Ziten" oni skribas jene:
 

イケマは、お腹が痛い時に、少し噛んで飲んだものです。

（アイヌ語）
ikema anak a=honihi arka hi ta ponno a=kuy wa a=ku p ne ruwe ne.
イケマ アナ�� アホニヒ ア��カ ヒ タ ポンノ アクイ ワ アク �� ネ ルウェ ネ。
（エスペラント）
Kiam la stomako doloras, oni iom mordas kaj trinkas ikema-on.
 

頭が痛い時は、焼いて布に包んで、頭に巻きました。

（アイヌ語）
a=sapaha arka hi ta a=ma wa senkari ani a=kokari wa a=epanu ruwe ne.
アサパハ ア��カ ヒ タ アマ ワ センカリ アニ アコカリ ワ アエパヌ ルウェ ネ。
（エスペラント）
Kiam la kapo doloras, oni rostas �ﾞin, envolvas �ﾞin per tuko kaj volvas �ﾞin �ﾝirka�� la kapo.
 

目の病気を直すのに、寝る前に噛んで、まぶたにつけました。

（アイヌ語）
sik siyeye a=pirkare kuni hotke=an etok ta a=kuy wa a=sikkapuhu kasi a=usi ruwe ne.
シ�� シイェイェ アピ��カレ クニ ホッケアン エト�� タ アクイ ワ アシッカプフ カシ アウシ ルウェ ネ。
（エスペラント）
Por kuraci okulmalsanon, oni mordas �ﾞin anta�� ku�疂�ﾞo kaj almetas �ﾞin al la palpebroj.
 

煎じて煮出し汁を濃くして、それから、傷を洗うと、化膿しませんでした。

（アイヌ語）
a=popte wa uwe nupur kor orowano, a=pirihi a=huraye yakun yenu ka somo ki.
アポ��テ ワ ウウェ ヌプ�� コ�� オロワノ、 アピリヒ アフライェ ヤクン イェヌ カ ソモ キ。
（エスペラント）
Oni dekoktas �ﾞin kaj densigas �ﾞian supon, do, kiam oni lavas vundon, �ﾞi ne fari�ﾞas pusado.
 

歯が痛む時は、これを噛みました。

（アイヌ語）
a=nimaki arka hi ta newaanpe a=kuy ruwe ne.
アニマキ ア��カ ヒ タ ネワアンペ アクイ ルウェ ネ。
（エスペラント）
Kiam la dentoj doloras, oni mordas �ﾞin.
 

美幌では種の表面に付いている綿を取って、どこかが傷ついた時に薬にしました。

（アイヌ語）
Peporo (Bihoro) or ta piye kurka us wata a=uyna wa, neoro ka a=piro hi ta kusuri ne a=kar.
ペポロ （美幌） オ�� タ ピイェ ク��カ ウ�� ワタ アウイナ ワ、 ネオロ カ アピロ ヒ タ クスリ ネ アカ��。
（エスペラント）
En Peporo (Bihoro) oni prenas kotoneca�瀰n algluitan sur semo. Kiam oni vundas, �ﾞi fari�ﾞas sangohaltigilo.
 

日本では、乾いたイケマは、牛皮消根（ごひしょうこん）と言われるもので、同じように薬にするものです。

（アイヌ語）
sisam or ta, sat ikema gohisy�殻on sekor a=ye p ne wa, uneno kusuri ne a=kar pe ne.
シサ�� オ�� タ、 サッ イケマ 牛皮消根 セコ�� アイェ �� ネ ワ、 ウネノ クスリ ネ アカ�� ペ ネ。
（エスペラント）
En japanio oni nomas sekan ikema-on gohisyookon. �ﾘi fari�ﾞas drogo same.
 

イケマの中にプレグナン配糖体、キナンコサイドＣ２と言われるものがあります。これは、抗腫瘍性や免疫増強作用もあるものだと言う人がいます。

（アイヌ語）
ikema or un, puregunan-hait�閣ai kinankosaido-C2 sekor a=ye p an. newaanpe anakne, k�郭yuy�郭ei ka men'eki-z�殻y��-say�� ka kor pe ne, sekor ye kur an.
イケマ オ�� ウン、 プレグナン配糖体、キナンコサイドC2 セコ�� アイェ �� アン。 ネワアンペ アナ��ネ、 抗腫瘍性 カ 免疫増強作用 カ コ�� ペ ネ、 セコ�� イェ ク�� アン。
（エスペラント）
En ikema-o trovi�ﾞas Pregnane-glycoside kaj Cynanchoside C2 la�� onidiro. Iuj diras, ke �ﾞi efikas kontra��-tumorecon kaj plifortigecon por imuno.

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